2021年以降の中国5Gの方向性と通信事業者の方針①

11月26日、広州市にて行われた世界5G大会が開催された。中国国内年内最後のイベンドとなる本大会では、5Gのポジションニング及び来年以降の方向性が発表された。

5Gのポジショニング

大会では、5Gが新しい科学革命と産業革命の重要なエンジン役として位置づけられている。研究機構や業界専門家達によると、5Gがビッグデータセンター、AIと工業インターネット等一連のインフラと連動し、各産業のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、サプライチェーンの川上・川下及び各業界への応用投資を引き起こすことになる。2025年までには累計3.5万億元の投資規模になるという。

https://mp.weixin.qq.com/s/Rzxw_888AbqimVo_oXUDSA

2021年の方向性

工業情報化部副部長の劉烈宏氏が来年度以降の方向性について触れた。
現在、工業情報化部が各通信事業者と来年の基地局建設計画を制定していると明らかにした。来年度は事業者間の共同建設に積極的に取り組み、高速・移動・安全・広範にアクセス可能な新型インフラの構築を加速する。

同時に、5G技術の研究開発試験をさらに推進し、チップモジュールの研究開発も強化して5Gスマート端末等の開発を促進する。

5G関連の最新データ

一連のデータも公表された。
中国では既に70万強の基地局を建設し、その97%が既存の基地局にて拡張したものになっている。5G端末接続数が1億8000万を超えた。市場投入許可を得ている5G端末数は253モデル、うち5G携帯電話機は218モデル、5G携帯電話機価格が1500元(約22000円)前後になってきている。

文章・画像の引用先:
http://www.ce.cn/xwzx/gnsz/gdxw/202011/27/t20201127_36055612.shtml
http://finance.china.com.cn/roll/20201130/5442471.shtml

中国5G料金プランUserの割合(1〜10月迄)

中国移動社と中国電信社の2020年1月から10月までの5G利用者割合について発表された。もう一社の中国聯通が依然として公表していない。

https://mp.weixin.qq.com/s/oMLYDTNXixlBjuQqxRi8vA

集計は1月から10月31日までのデータを用いている。単位は億人となる。
左から、月、携帯電話利用者、5G料金プラン利用者、5G利用者の割合の順である。

中国移動はトータル約9.5億のうち、5G利用者は1.3億、中国電信は3.5o億のうち、5G利用者は約7200万ではあるが、5G利用者の割合では中国電信が20.56%と遥かに高い。

5Gサービスがスタートしてわずか一年、SA通信ネットワークの商業化を前にして大きな市場を確保していると言える。

文章・画像の引用先:
https://mp.weixin.qq.com/s/oMLYDTNXixlBjuQqxRi8vA

中国では5G基地局が70万、5G端末接続数が1.8億超え

https://www.ndrc.gov.cn/fzggw/wld/tdj/zyhd/202011/t20201112_1250303.html

11月11日、工業情報化部副部長劉烈宏氏が中国発展フォーラム2020に出席し、5Gの最新データを発表した。
劉氏によると、今回のコロナが新しい技術の応用を大いに加速した。中国は既に70万近くの基地局を建設し、5G端末接続数も既に 1億8000万を超えている。同時に、優れたインフラストラクチャが5Gベースのアプリケーションを促進した。例えば、コロナ流行中、5G +超高画質遠隔インタラクティブ教育、AR / VR浸透型教育、遠隔教室等多くの新しいモデル、新しいスマート教育産業が登場した。

文章・画像の引用先:
https://www.ndrc.gov.cn/fzggw/wld/tdj/zyhd/202011/t20201112_1250303.html
http://www.cww.net.cn/article?id=478869

5G携帯電話10月出荷量は全体の64.1%!今年10ヶ月で183モデル!

中国工業情報化部直轄情報通信研究院(CAICT:China Academy of Information and Communications Technology)から2020年10月までの国内携帯電話出荷データが公表した。

5G携帯電話端末の出荷量

10月国内携帯電話の総出荷台数は2615.3万台。
うち5G携帯電話は1676.0万台、同時期における全出荷数の64.1%を占める。10月5G端末新発売16モデル、全体の57.1%を占める。
2020年1〜10月までの5G携帯電話累計出荷量は1.24億台、ニューモデル累計183機種に上った。

国産ブランド携帯電話の構成

2020年10月、国産ブランド携帯電話の出荷台数は2032.2万台、前年比33.5%減、同時期総出荷量の77.7%を占める。
2020年1〜10月までの国産ブランド携帯電話出荷台数累計2.26億台、前年比23.2%減、同期総出荷量の89.9%となった。新発売計348モデル、前年比19.3%減、同時期携帯電話機ニューモデルの89.9%を占めることになった。

国産スマホー携帯出荷量

2020年10月、スマホー携帯出荷台数は2501.4万台、前年比27.7%減、同時期携帯電話出荷台数全体の95.6%を占める。
2020年1〜10月、スマホー携帯累計出荷は2.43億台、前年比21.5%減、同時期携帯出荷台数全体の96.4%となった。

文章・画像の引用先:
2020年10月国内手机市场运行分析报告(中文版)
http://www.caict.ac.cn/kxyj/qwfb/qwsj/202011/P020201113340736677854.pdf

中国5G端末産業加速④5G端末の品質状況

2020年11月5日に行われた「2020年中国5G端末グローバルイノベーション大会&第8回中国携帯デザインコンテストスワンアワードセレモニー」にて5G端末の品質検測と問題内容について国家通信端末製品品質検測センター(広東)技術主管の李恵氏が報告した。

中国5G端末の品質認証関連標準:

中国の5G端末について、市場投入前に3C認証を受けるシステムになっている。
下記1〜6は電磁適合性、7はバッテリー、8は安全についての検査標準になっている。

4Gと5G端末の検測標準の違いは周波数帯域の広さにある

5G端末の3C認証について2020年8月27日に国家認証監査委員会よりYD/T2583.18標準を公布され、実施している。これより以前に認証済みの5G端末に関して追加認証を行うことになっている。

これまでの携帯電話端末品質状況

中国全体と広東省それぞれの品質サンプリング検査状況からみて、ここ8年間での品質問題が改善されつつある状況にある。

品質問題の高い順で安全関連が35%、EMC関連25%、バッテリー17 %、部品検査23%。

今後の改善課題

もう一つ、課題として発熱の問題がある。
全く同様な検測条件で4Gと5G端末の発熱が大きく異る。この問題は今後の改善に期待する。

https://wx.vzan.com/live/tvchat-1199586014?shareuid=283596247&vprid=0&sharetstamp=1604538999960#/

文章・画像の引用先:
http://www.ccidcom.com/yaowen/20201110/w8bHduEzKOEQGEuGk17wcc17ykjkk.html
https://wx.vzan.com/live/tvchat-1199586014?shareuid=283596247&vprid=0&sharetstamp=1604538999960#/

中国5G端末産業加速③5G端末産業白書(2020) 各種データ

2020年11月5日に行われた「2020年中国5G端末グローバルイノベーション大会&第8回中国携帯デザインコンテストスワンアワードセレモニー」にてCCID(China Center for Information Industry Development中国工業情報化部電子情報産業発展研究院)から『5G端末産業白書(2020) 』が発行された。

同白書では各種データを開示しているのでここに紹介したい。

主流になりつつある5G Socチップの市場シェア

http://www.cbdio.com/BigData/2020-11/06/content_6161274.htm

今年第2四半期の5G Socチップの市場シェアから見て、Huawei/HiSilicon が54.8でリードし、Qualcommは29.4%、メディアテックは8.4%、サムスンが7.4%となっている。

5Gスマート携帯CPUメーカー

http://www.cbdio.com/BigData/2020-11/06/content_6161274.htm

何故かSoCチップと同様のシェア率。

5G携帯電話の出荷と新機種数:

昨年1月から今年9月までの携帯電話市場における5G携帯電話と非5G携帯電話機の出荷台数を発表している。2020年1〜9月までの5G携帯電話累計出荷量は1.08億台、新機種は累計167機種。

http://www.cbdio.com/BigData/2020-11/06/content_6161274.htm

2020年前半5G携帯電話出荷メーカーの割合

http://www.cbdio.com/BigData/2020-11/06/content_6161274.htm

文章・画像の引用先:
http://www.ccidcom.com/yaowen/20201106/AWK1CkisvBvvokOHS17vy82mo398g.html
http://www.cbdio.com/BigData/2020-11/06/content_6161274.htm
https://mp.weixin.qq.com/s/TePLilP1vBw8DzhK2Z5Ojg

中国5G端末産業加速②5Gスマート端末の多様化

2020年11月5日、「2020年中国5G端末グローバルイノベーション大会&第8回中国携帯デザインコンテストスワンアワードセレモニー」が広東省河源市にて行われた。

携帯電話端末に関する毎年最大のイベントであり、今年度は例年以上の規模で賑わった。工業情報化部・通信事業者・ベンダー・端末デザイン関連の専門家が講演され、第8回中国携帯デザインコンテストスワンアワードの表彰セレモニも行われた。

https://wx.vzan.com/live/tvchat-1199586014?shareuid=349524293&vprid=0&sharetstamp=1604642800257#/

5Gスマート端末の多様化

オンラインライブ開催であったため、筆者も視聴した。
特に元工業情報化部副部長である楊学山氏の「端末のイノベーション:デジタル・エコノミー時代の基礎」と題する講演が今の中国にとって一番重要な示唆と感じた。

楊学山氏は具体例を上げながらスマート端末の定義、多様化、今の中国にとっての重要性、応用可能性について丹念にプレゼンした。

同氏のお話で一番印象に残った言葉は

“5G的终端不一定是手机… … 手机反而不是供应不足的… …特斯拉汽车也是智能终端的一种!“

つまり、


5Gの端末は携帯電話とは限らない!
逆に携帯電話しか供給不足ではない現状にある!テスラの車もスマート端末の一つ!

IoTからIoV(Internet of Vehicles)、全てのものがインターネットに繋がる時代になる中で、話としてさほど驚くものではないものの、テスラも5Gスマート端末として捉える点に衝撃を覚えた。

「新型インフラには、5Gネットワーク建設、電気自動車用の充電ステーション、工業インターネットといった内容を含む。これらのインフラは、5Gの応用技術、電気自動車や自動運転など未来産業が発展する基盤となる。」*

とあるように、充電ステーションまで新型インフラに盛り込まれていることを理解しなかったが、楊学山氏の講演でようやく勉強できた。
*丸川知雄「コロナ危機をチャンスに変えようと模索する中国」 p.87−88 、東大社研現代中国研究拠点(2020)『コロナ以後の東アジア変動の力学』、東京大学出版会

https://www.amazon.co.jp/コロナ以後の東アジア-変動の力学-UP-plus-東大社研現代中国研究拠点/dp/4130333003

文章・画像の引用先
http://www.ccidcom.com/yaowen/20201105/wpTsJuf1q9nyJMqg217vx3nbxpfto.html
「2020年中国5G端末グローバルイノベーション大会並びに第8回中国携帯デザインコンテストスワンアワードセレモニー」オンラインライブURL(2020−11−10):
https://wx.vzan.com/live/tvchat-1199586014?shareuid=349524293&vprid=0&sharetstamp=1604642800257#/

中国5G端末産業加速①3つの提案

2020年11月4日、工業情報化部にて副部長劉烈宏氏が5G端末座談会を司会し、国内外の端末メーカー、モジュール関連会社からの5G製品進捗状況の報告を聞き、5G端末の発展について具体的な指示を示した。

5Gは経済社会のデジタルトランスフォーメーションを促す重要なインフラ
5G端末の普及は5Gサービス商業化を成功させる意味でも重要!


劉烈宏副部長によると、新世代の情報通信技術発展の主要な方向性の1つとして、5Gは安定の投資、消費の促進、アップグレードの支援及び経済発展の新たな推進力の拡大という点で大きな可能性を秘めている。経済社会のデジタルトランスフォーメーションを促す重要なインフラストラクチャとなる。 5G産業サプライチェーンの重要なリンクとして、5G端末の普及は5Gサービス商業化を成功させるためにも極めて重要である。

3つの提案:

劉烈宏副部長より3つの提案があった。


1.5G端末の技術開発を加速し、利用者により良い5Gサービスを提供する。消費者の需要に向けて、5G端末の製品性能と成熟度の向上を加速し、費用対性能比の高い5G端末を目指す。


2.主要な技術研究を強化し、融合型5Gアプリケーションの開発・発展の基盤を強化する。 5G用チップ、モジュールの研究開発を引き続き推進し、垂直産業にマルチフォーム、マルチタイプ、マルチ機能の端末製品を提供する。


3.健全な5G開発の良好なエコシステムを共同で構築する。そのためには、産業サプライチェーンの川上と川下間、通信業界と垂直産業間の連携も強化する。5G端末の研究開発やアプリケーション探索などを共同で実施する。

文章・画像の引用先:
https://www.miit.gov.cn/xwdt/gxdt/ldhd/art/2020/art_6e54bee36aee49c7b31bf35c5dad4b30.html

中国電信が5GSA独立ネットワークの商業化を開始!5G基地局67万構築済み

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1682701653010303019&wfr=spider&for=pc

11月7日、広州市にて中国電信とQualcommが「2020天翼スマート生態博覧会第12回天翼スマート生態産業フォーラム」を共同開催した。同フォーラムでは、中国電信は中国全国300+都市にて5G SAの商業化を開始し、11月7日より中国電信の営業庁(ショップや窓口)よりサービス申込可能になったことを発表した。

これまでの中国の5Gサービスは4Gのネットワークに5G基地局を接続してコアネットワークは4Gのままにて運営してきた。しかし、4Gのコアネットワークが本格的な5Gサービスを支持できないため、中国通信3社が2019年5Gサービス開始当初から5GSA独立型ネットワークの構築を進めてきた。
その結果、フォーラムや上記全国ニュースの動画発表によると、11月7日現在中国聯通との共同建設で全国にて既に32万の5G基地局を建設済み、年内ではさらに5.8万を建設予定している。中国移動も2020年度の目標である35万基を既に達成済み、近いうちにSAネットワークの商業化を発表する見込み。
5G端末よりの接続数は1.6億を既に超えている。これまで207の5G端末がネットワーク接続許可を受けており、34のブランドの180モデルの5G携帯電話が市場投入し、ここ2カ月の5G携帯電話の市場シェアは80%に近づいているという。

文章・画像の出所:
北京商報:
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1682758712784535547&wfr=spider&for=pc
中国電信公式アカウント:
https://mp.weixin.qq.com/s/Cma3Jw9mVrbESVX1q4v47A
新浪財経済公式アカウント:
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1682701653010303019&wfr=spider&for=pc
中国中央新聞直播間ビデオ:
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1682701653010303019&wfr=spider&for=pc

中国5G始動からまる1年、今こそ点検!

昨日に続き、邬贺铨院士が2020年10月15日のIMT2020(5G)サミット5Gイノベーションフォーラムにて講演された「5G商業化1周年の点検」について時間をかけて整理してみた。

5G商業化して1周年、卓越した成果と共に問題の所在も直視せざるを得ない!
1)技術の未熟さ
2)高価なコスト
3)転化しにくいコスト

中国5Gについて一番熟知している中国の科学家による中立的・客観的な観点である!?

5G通信技術の成熟度は移動通信産業の発展ルールにマッチしている

移動通信は基本的に10年で1世代、各世代スタートした最初の何年間は進化していく過程となる。各世代期間内にて多くのバージョンアップ・グレードアップがあり、技術は次第に成熟化していくが、商業化当初は未熟であることが明らかである。特に5Gの場合その傾向が顕著である。

1Gの時は、中国は世界より少なとも6年間遅れた。2Gは3年間、3Gは6年間、4Gは3年間ほど出遅れてきた。5Gはようやく同期されている。よって、過去数年間は我が国は基本的に先進国より数年遅れての商業化に、基本的には海外製品を使用してきた。3G以降、一部の中国国産ブランドが出回り、4G以降大幅な改善が見られた。総じて言えば、これまでは我々には海外派が先行していたゆえに、我々には試行錯誤のリスクが少なかった。先進国に遅れたからだ。これによって、我々は市場での優位性を失ったばかりでなく、特許利用料などによる製品コストの上昇という代価を支払わざるを得なかった。サプライチェーンやバリューチェーンでの主導権も失った。

5Gの効率は4Gより遥かに優れている

5Gが使用する周波数帯域が高く基地局の密度が高い。
今の4Gカバレッジレベルまで引き上げるには、4G基地局の2〜3倍の5G基地局が必要、さらに基地局あたりのエネルギー消費量も4Gの2〜3倍となるというふうに計算すると、5G基地局の総エネルギー消費量は4Gの4〜9倍になる可能性があるとのこと。

しかし、実際5G基地局にはマクロ基地局(ステーション)とマイクロ基地局があり、5Gマクロステーションは4G基地局に等しく、5Gマイクロステーションはもっと細かくなる。それでも、4Gマイクロステーションの3倍にはならない。もう一つ、WiFi設置可能な場所ではWiFiを利用することによって、室内用基地局の設置を省ける。トータル的に言うと、5Gのエネルギー消費量は4Gのエネルギー消費量よりは多いが、本当に4〜9倍高いかどうかは定かではない。

5G投資回収は実は4Gに匹敵!

招商証券の予測によると、5G基地局などのインフラストラクチャ建設への総投資額は1,650億米ドル、4Gは既に1,100億米ドルを費やした。言い換えればつまり、5G基地局への投資は4Gより50%多い。我が国の4G建設は2013年から現在まで7年ある。現在、4G利用者が全ユーザーの80%。5Gが今日の4Gの規模になるには、8年或いはさらにかかると推定されている。 ということは、5Gの年間投資規模から見ても想像するほど大きくないことが言える。

文章・画像の引用先:
中国情報産業網http://www.cnii.com.cn/xxtx/202010/t20201017_223571.html
騰迅網https://new.qq.com/rain/a/20201017a07a1900
人民郵電報https://baijiahao.baidu.com/s?id=1680793619348214038&wfr=spider&for=pc