中国は5Gミリ波チップの開発に成功、2022年まで商用を目指す

中国は6月15日に5Gミリ波チップの開発に成功したと発表している。
中国工程院院士劉雲潔によると、南京市にあるネットワーク通信・安全紫金山実験室(Purple Mountain Laoratories)がCMOSミリ波完全統合4チャネルフェーズドアレイチップを開発し、チップのパッケージングとテストを完了した。

これにより、チャネルあたりのコストは1000元(約1.5万)から20元(約300円)に削減できるようになる。1024チャネルのアンテナ素子が組み込まれたミリ波大規模アクティブアンテナアレイもパッケージ化した。チップとアンテナアレイは、2022年までに5Gシステムにて商用を目指している。

実は、この開発について1月19日にて開発成果発表会並びに産業化協力合意式を行っていたことが南京市の地元メディア「現代快報」にて取り上げられていた。報道によると、同実験室は国家 863計画の5G研究開発以外、国家重大科学技術プロジェクトなど多くの技術開発を受託している。

中国工程院院院士、実験室主任劉韻潔によると、この技術開発による画期的な進歩は中国5Gの優位性を5〜10年間保つための重要な基盤を築いた。

筆者注:
初めて目にする実験室であり、組織図について確認すると、このように記されている。「研究所は公的機関の法人組織であり、行政レベルはなく、公的機関の関連規定に従って党の草の根組織を設立し、評議会のリーダーシップの下で理事責任システムを実施しています。」
もっと調べると、どうやら通信ネットワークに関する先駆的技術について専門的に研究を進み、関連技術分野にてポスドクを広範に確保している超技術系シンクタンク的存在。
更に調べると、中国総合的な科学技術センターとして2018年に設立され、今年6月20日午後、新築ビルでの開業式が行われた。
開業式には、江蘇省委員会常務委員・南京市委員会書記・紫金山実験室理事会理事長である張敬華が出席して演説した。南京市市長・実験室理事会副理事長韓立明、中国工程院院院士、実験室主任劉韻潔、中国工程院院院士、実験室副主任邬江興、実験室副主任尤肖虎、馮記春が式に出席したという。

今後一層目が離せないLabであることは間違いなさそう。

文章・画像は以下より引用:
ネットワーク通信・安全紫金山実験室
https://www.pmlabs.com.cn/plus/list.php?tid=5
https://www.pmlabs.com.cn/plus/view.php?aid=851
https://new.qq.com/omn/20200120/20200120A048JY00.html

「中国5G産業政策とデジタル社会の持続的発展」について学会発表致しました!

2020年7月4日本日、2020年度情報通信学会大会にて「中国5G産業政策とデジタル社会の持続的発展」を発表いたしました。
資料はこちらに置いておきました。
日本ではなかなか出てこない中国5G情報の共有ができれば幸いです。

中国5G利用者数ほぼ1億突破

各種資料に基づき筆者作成

中国5G市場が5月も急増し続けている。
中国移動5G利用者は11.864万増で累計5561万。
中国電信は835万増で累計3005万。
中国聯通は依然として5G利用者数を公開していないが、中国電信同等かわずかに少ない程度と業界がみている。
全体として、3つの主要事業者の5G利用者は1億を突破していると見て間違いないようである。

増加幅からみると、今年以降中国移動はほぼ月1000万の増加ぶりである。1月の5G利用者は673.6万であったが、2月から4月までは、それぞれ866.3万、1632.4万、1202.2万増であった。中国電信の3月と4月はそれぞれ588万と509万の純増であった。

文章・画像は以下より引用
https://mp.weixin.qq.com/s/g3eEArKHLD-fjs_p2DV6TQ

中国広電も着々と5Gコアネットワ​​ークを開通

湖南省長沙市にて中国広電初の5Gコアネットワーク開通

6月24日、中国4つ目となる通信事業者、中国広電*が同社初の5Gコアネットワークを湖南省長沙市にて開通した。

*中国広電:中国広播電視網絡有限公司(China Broadcasting Network)は国内全土で有線テレビネットワークの業務を展開する企業で、2019年6月6日付けで中国移動、中国聯通と中国電信の3社と同時に中国工業情報化部より5Gの運営を承認する基礎電信業務経営許可証の発給を受けていた。4.9GHz〜5GHzまでの周波数帯域を割り当てられた。元々保有していたラジオ用の700MHzも2020年2月に工業情報化部より5G用として許可されている。
#6月30日に中国広電網絡有限公司が中国広電網絡株式会社株式会社を設立し、12月31日までに資本注入を完成予定としている。

業界最高の技術レベルを持つ5G SAコアネットワークが構築され、長沙市と北京市間のVoNR音声通話も実現した。

コアネットワークは5Gネットワ​​ークの中枢であり、ユーザーデータ、ネットワークセキュリティ、ビジネスの差別化とネットワーク機能の開放などの主要な機能を備えている。これを以って、中国広電社が湖南省にてToC及びToBの5Gニーズに対応可能となる。

江蘇省にて700MHzと4.9GHz「デュアルバンドネットワーキング」

続いて6月28日、江蘇省ケーブルテレビは、江蘇省初の4.9GHz及び700MHz 5G基地局アンテナを設置した。江蘇ケーブルテレビによると、この基地局建設は700MHzと4.9GHzを統合した独立したネットワークモデルを使用している。これは、江蘇ケーブルテレビが5G分野で中低周波数の「デュアルバンドネットワーキング」の能力を持っていることを示し、江蘇ケーブルテレビの5Gへの正式な参入を意味する。

貴州省貴陽市にて中国広電5G最初の試運転

更に6月30日、貴州省貴陽市広電子会社でも5G SAコアネットワークの試運転を発表し、省・市・県・郷へとシームレスカバレッジを目指すとしている。

文章・画像は以下より引用:
http://www.dvbcn.com/p/111126.html
http://www.dvbcn.com/p/111202.html
https://www.sohu.com/a/404941909_488920
https://www.sohu.com/a/404616152_120065467
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1670929925715217639&wfr=spider&for=pc

ノキアが台湾大哥大(Taiwan Mobile)5G契約を独占獲得

6月29日本日、ノキアが台湾大哥大(TWM,Taiwan Mobile)の5Gネットワ​​ーク契約を独占獲得したと発表した。

3年間の契約で約4億ユーロの受注額になる。受注内容は5G RAN(アクセスネットワーク、Radio Access Networks)、5G コアネットワーク(Core Networks)及び5G IMSその他の設備機器まで含まれる。

今月より5G NSA(Non-StandAlone)非スタンドアローンネットワークから敷設し始め、3年以内で5G SA(Stand Alone)スタンドアローンネットワークへとグレードアップしていく。

ノキアは台湾大哥大の長期的なパートナーとして、これまで2G、3Gと4G関連設備を提供してきた。今後持続可能な発展とデジタルトランスフォーメーションに焦点を当てた「スーパー5G戦略」の推進について、台湾大哥大社を支援するとした。

Nokia社プレスリリース:https://www.nokia.com/about-us/news/releases/2020/06/29/nokia-wins-exclusive-taiwan-mobile-5g-deal/

公衆Wifiは決して無料ではない!5G時代になってからの行方は?

中国の公衆Wifi(日本では公衆無線LAN)について調べてみたが、なかなか面白い。使用範囲、使用主体、信号源と使用費用別で図2のように分類できる。

                図1 公衆Wifiのサプライヤーチェーン
                  図2 中国Wifiの分類
        図3 公衆Wifiの種類

公衆Wifiには事業者、企業、商業とスマートシティを掲げる(都市)Wifiがある。公衆Wifiといっても無料と有料があり、基本的に無料に利用可能なのは商業Wifiと都市Wifiのみ。商業Wifiでもっとも多いのが飲食店やショッピングモール、ホテル、レジャー施設等。都市Wifiは政府が指定した特定な域内や大学がキャンパス内にて提供しているものが多い。
一方、企業向けWifiは当然有料。三大通信事業者も事業者Wifiを提供しているが、利用時間で料金を徴収している。

この中で一番発展しているのは商業Wifi。業種別で見ると飲食関係はトータルの
33.6%、ショッピングモールは38.5%、レジャー施設は11.2%、ホテルは5%をそれぞれ占め、残りの10.7%はその他となっている。商業Wifiの収入構成を見ると、60.3%は公告、ハードウェアによる収入は23.4%、コンテンツは16.3%。

図1のような公衆Wifiの勢力図が2015年以降から2017年頃まで急速に伸びたものの、2018年以降はほぼ横ばいしている印象を受ける。その原因はたくさんあるが、携帯電話のパケット代の降下による影響が考えられる。図4が示している通り、2018年には1G当たりのパケット代がつい8.5元(127円)に降下し、有料のWifiよりも携帯電話を直接利用することが多くなったと考えられる。実際のところ、2019年末インターネットへのアクセスのうち、99.5%以上が携帯電話によるものであった。

                図4 パケット料金の推移/1GB当たり(元)

        図5 政府無料Wifiアクセスポイント

図6 公共Bus内の5GWifi

今後この状況がさらに変化すると考えられる。
何故なら5Gサービスが昨年11月1日よりスタートし、遠隔医療や高速通信、AIとビッグデータを融合した利活用がCOVID-19にて功を奏して以来、中国政府は今年2月以降5Gをリード役としたニューインフラストラクチャ(新基建)を次第に加速してきている。各産業のデジタルトランスフォーメーションを図ったローカル5Gを全国にて幅広く推し進めながら「政府無料Wifiホットスポット」や、5Gの高速化通信を宣伝する体験スポットも急速に増加した。移動中のニーズに応える公共バス内での5GWifiも登場してきているなどの状況から見ると、5G通信エリアの拡大と通信料金の更なる低廉化によって、中国の新しい情報通信インフラの整備が確実に進んでいると言って良さそう。公衆Wifiの形も5Gの浸透によって変わっていくだろう。

図1・2・3は各種調査資料を元に筆者加工。
図4・5は下記URLより引用。
参考サイト:
https://www.sohu.com/a/114620032_115981
https://wenku.baidu.com/view/bbc223296fdb6f1aff00bed5b9f3f90f77c64d7a.html
2020年中国互联网发展趋势报告
http://pdf.dfcfw.com/pdf/H3_AP202004081377750375_1.pdf
https://mp.weixin.qq.com/s/1ioranbn9crkqh02DP6OWg
http://baijiahao.baidu.com/s?id=1631253547149722196&wfr=spider&for=pc

北京市5Gユーザー数は313万人!

昨日6月11日、北京市経済情報局が他行政部門共同で「北京市新基建加速行動方案」記者会見を開き、『北京市新基建建設加速行動計画(2020-2022)』」について詳細に説明した後、北京通信管理局王副局長が5Gについて発言した。

現時点北京市にて累計2万1086の5G基地局を建設し、その91%が既存の基地局より拡張した。 北京5Gユーザー数は313万人に達し、三大通信事業者による製造、運送、物流、文化的商取引、教育、医療等の産業との直接協力プロジェクトは1000以上あり、国内で主導的な地位にある。

今年、北京は新たに1万3000の5G基地局を建設する。年末までには、市内の5G基地局総数は3万以上に達し、第五環状道路以内室外シームレスの5G通信、第五環状道路以外の重点区域、典型場所のカバーを実現すると言及した。

筆者コメント:
文頭にある、現時点の中国移動社北京市5G基地局カバー図は同社の提供によるもの。市全体と天安門付近をそれぞれ確認できるが、実際、どの程度シームレス通信ができているのかは検証する必要がある。

文章・画像は以下より抜粋引用:
https://www.bjd.com.cn/a/202006/11/WS5ee1dab1e4b00aba04d2137a.html
http://www.beijing.gov.cn/zhengce/zcjd/tjxz/202006/t20200610_1922052.html

100元(約1500円)ベースからの5G料金プランが約8ヶ月で大幅値下げ

先週から一部の人からキャリアよりの販促電話を受け取り、近いうちにキャンペーンがあるとの噂があった。本日早朝、北京新京報記者が5G料金プランの最新情報をアップした。

新京報記者が三大キャリア北京地区営業ショップにて確認したところ、中国移動の割引率が最も大きく、中国聯通と共に100元をきっている。

中国移動社のキャンペーン

中国移動社のスタッフが提示した情報では、元58元以下の料金プランを利用しているユーザーが24カ月間継続契約をすると、88元で定価128元の5Gプラン(30GB、200分間通話)を利用可能。割引は実に30%以下。しかし、これらのキャンペーンはいずれも一年から二年までの継続契約という制限がある。

6月8日、海淀区某中国移動キャリアショップにて当該記者が実際確認した。元々60元プランだったため、58元以下という条件をクリアしていないため、このキャンペーンで利用可能なのは158元のランクを108元、或いは198元のを138元などの選択肢がなるという。割引率が25%OFFになる。

中国聯通社のキャンペーン

中国聯通のスタッフはいくつかの料金を前払いし、1〜2年間継続利用を契約しておくと5G料金キャンペーンを利用可能になり、もと129元のプランが90元、159元のが111元になる。

中国電信社のキャンペーン

中国電信は元最安価の129元の5G料金プランが2年間契約で103元になる。

ほかに、どのキャリアショップのスタッフもさまざまな端末購入キャンペーンを勧めているが、中国電信の場合、月199元の5G料金プランをチョイスした場合、ショウミ(小米Xiaomi)の最新5G端末Redmi 10Xを元値の1599元をなんと159元にて購入可能という。

文章・画像以下より抜粋引用:
http://www.bjnews.com.cn/finance/2020/06/10/736604.html

週1万基ペースで増え続ける中国5G基地局

終了したばかりの「両会」にて工業情報化部苗圩部長がこう語った。
5Gは今年に入ってから加速している。疫病のパンダミックで1月、2月、3月に影響が出たが、さまざまな企業が引き続き時間を取り戻すための努力を強化し、懸命に取り組んでいる。
現在、我々祖国の大地では毎週およそ10,000を超える5G基地局が増え続いている。 4月末時点、5G端末による接続数は累計3600万を超え、4月1ヶ月の5G純増利用者数が700万強に上った。

5月末時点の5G基地局については、中国移動14万、年末までには30万基建設予定。中国電信と中国聯通は共同で10万基建設済み、年間25万基の目標を第三四半期にて達成見込み。

文章・画像は以下より抜粋引用:
http://www.chinanews.com/m/cj/2020/06-08/9206436.shtml
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1667661075011184082&wfr=spider&for=pc
http://www.xinhuanet.com/politics/2020lh/index.htm#index_3
https://mp.weixin.qq.com/s/LudYapeQD-LbYd3438mEKw

工業情報化部と発改委が連名公布:電気通信料金告知制度の廃止

中国工業情報化部と国家開発改革委員会が共同で『電気通信料金の告知制度』の廃止を2020年5月9日付けで公布した。

通達では、同通達公布日より『電気通信サービス料金の市場調整価格の実施に関する通知(工情部聯通 [2014] No.182)』にて規定した料金計画実施前の告知義務を廃止する。電気通信事業者による全国或いは省、自治区、直轄市間の料金案は、実施前の工業情報化部、国家発展改革委員会への通知をなくす。その他の料金プランは、省、自治区、直轄市通信管理局並びに同クラスの価格主管部門への通知もなくす。

工業情報化部と国家発改委は以下のように要求した。
電気通信事業者は電信業務料金の開示制度をより充実し、営業エリア内にてパンフレットや電子表示、利用明細等にて提供している全てのサービス料金プランを開示すべき。広報と宣伝においては、料金プランについて全面的、正確に、わかりやすく提示し、宣伝内容は事実と一致させる。パッケージ化された販促料金プランを策定する場合、ユーザーが必要とする基本的なサービスについては、それぞれ単独追加する場合のサービス料金も明示し、ユーザーが自由に選択できるようにしておく。番号ポータビリティサービス(MNP)ユーザーに関して、現有全てのサービスの選択可能性を保証する。

筆者コメント:5月17日世界電信日に浙江省市場監督管理局、浙江省消費者保護委員会(消保委)による三大通信事業者が事情聴取!国有企業でも消費法を遵守せよ!が報道されるようになったのがきっかけで全国で大きな批判が広がってきた。多くの省にて中国移動、中国聯通と中国電信社へのサービスの不満が高騰し、各地域の所轄部門にて社内立ち入り調査等を受け、警告を受けてきた。

そこであえて両会前、この通達は全国の通信事業者への取締り現状を考慮し、このような形にて事業者への指示を出し、両会にて通信サービスへの不満を沈静化したと考えられる。ならば、それらしき通達にすれば良いのではと思うのだが、ここには中国政府ならではの考えがある。

中央企業である通信事業者への「批評」(批判)のようなタイトルが付くようではニューインフラ建設のリード役である5Gを推し進めてもらう通信事業者の「メンツ」がなくなるので、そもそも機能・実行されてこなかった、前半の告知制度の廃止の名を借りた形になったと考えられる。

文章・画像は以下より抜粋引用:
http://www.miit.gov.cn/n1146285/n1146352/n3054355/n3057674/n3057693/n3057696/n3057697/c7943553/content.html